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カテゴリ:数学一般( 4 )
公式

定義定理の次は「公式」です。

算数・数学の中で、「公式」と言う言葉は、はっきりとした定義がないようで、結構に曖昧に使われています。公式集なるもののなかに、定義や定理が含まれていたりもするので、それらを全て「公式」と思っている人も多いようです。この曖昧さが、定義・定理・公式の扱い方を、さらに分かりにくくしているような気がします。

私としては、公式は、定義でも定理でもなく、「計算の手間を省くためのもの」と位置づけたいと思います。

数学では、「シンプルに導く」「簡単に導く」ことが是とされ、美とされます。そして、「同様な導き方を何度も行う」ことを評価しません。そこで、同様な導き方をするときには、その結果を「公式」として利用して、重複を避けようというのが「公式」の目的です。複雑な変形に対しても、煩雑さを避けるために結果のみを「公式」として扱うこともあります。

たとえば、2次方程式の解法として、基本変形という変形を利用する解法があります。汎用性のある解法で、どのよう2次方程式でも、同じように変形でき、解くことができます。そこで、何度も同じ変形を繰り返すことを避けるために、一般化された2次方程式
e0017757_012559.jpg
を解き、その解
e0017757_0121649.jpg
を「解の公式」としています。すると、いかなる2次方程式でも、その公式の a、b、c に値を代入するだけで答えが求まるというわけです。

「公式」は、定理のようにある対象の間の関係ではなく、重複や煩雑を避けるためのものです。こうした公式は、定理のような意味付けはありません。新しい概念を理解するとき、必要となるものでもありません。単に覚えて使うものです。

つまり、公式は道具です。道具は、使いこなされてはじめてその価値があります。公式も使いこなせないと意味がありません。そのためには演習が必須となります。ただ、道具を使うこと自体を目的としないような自覚が必要でしょう。指導者の資質が問われるところであろうかと思います。

以上のように考えると、実は、小学校の算数(中学受験の算数は除く)に、「公式」は「無い」事になります。小学校の算数で公式と呼んでいるものは、全て定理か、定義と言うことになると思います。



参考 → 新しい概念を学習するとき


 
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by math90 | 2006-03-16 22:57 | 数学一般
新しい概念を学習するとき

新しい概念を学習するときに、既知の概念から、新しい概念を、理解し、納得し、腑に落ちるまでのレベルに達することが、はたして可能でしょうか? 

私が大学で、初めて「位相幾何学」(※)なるものに出会ったとき、「コーヒーカップとドーナッツは同じもの」と言われました。「へ??」二の句が告げませんでした。新しい概念を、既知の概念で理解することは、ほとんど不可能でした。大学での数学はそのようなことの連続でした。

数学では、新しい概念を学習するとき、理解できない、納得できない、腑に落ちないのが当たり前のように思います。自分の持っている世界でないことを学ぶ場合、自分の持っている世界で理解するには、限界があるのは当然と思います。だからこそ、驚きがあり、発見があり、新鮮で楽しいのだともいえるとも思います。

では、新しい概念を学ぶときは、どうしたらよいでしょうか。

それは、まず「認める」こと、そして「触れる」ことと思います。
自分の世界に戻して考えるのではなく、その世界に行ってみることでしょう。

ここで、定義定理の登場です。

新しい概念を学ぶときは、
まず定義をそのまま受け入れる。定理を理解する。覚える。自分の手で使ってみる。とにかく、分からないままでもその世界に触れてみる。」
これが、とても重要なことと思います。

その上で、既知の概念との関係を考える、想像する、分析する。そのようにして、どんどん新しい概念を深め、広げていく。それが柔軟な数学的思考力を育てることに繋がっていくと思います。

時には、新しい概念の一部分が、既知の概念で説明できることもあるかもしれません。そして、その説明が分かりやすいと感じるかもしれません。けれども、新しい概念の世界に入らない限り、それは、新しい概念を学んでいることにはならないと思います。既知の概念で説明されることは、既知の概念でしかないと思います。


10進法にしても、割合にしても、子供達にとっては、全く新しい概念です。子供達がこれまで持っている世界に戻して考えるのではなく、新しい世界に導いていきたいと思います。そのためには、定義を受け入れ定理を理解し、覚え、何度も反復して使うことで、新しい概念にたっぷり触れていくことが、世界を広げるための、第1歩であると思っています。





(※)
位相幾何学とは、ゴムの幾何学いわれるものです。この世界では、ゴムのよう引っ張ったり、縮めたりして形を変えて、同じ形になるものを「同じもの」とみなします。。




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by math90 | 2006-03-08 16:38 | 数学一般
定理

定理とは、
   「定義や公理(※)から、導かれる真の命題」
のことです。つまり、様々な対象の間に、定義や公理からある関係が証明できたとき、その関係を「定理」と言います。

そして、証明された定理を使って、さらに複雑な関係を調べたり、概念を深めたりしていくのが、数学と言うことになるのでしょう。

たとえば、 
   「3辺の長さが等しい三角形を正三角形という」
というのは、正三角形の定義ですが、これから、
   「正三角形の3つの角はすべて等しい」
という定理が導かれます。そして、これより、
   「正三角形の1つの角は60°である」
という正三角形の性質がわかり、正三角形の概念が深められていく、というような具合です。

定理は本来、「使うもの」です。すでに証明されている定理を使う場合に、その都度、証明する必要はありません。けれども、定理を使うには、まずその定理が適用できる場面であるかどうかを確認しなければなりません。そして、適用可能かそうでないかは、その定理の証明の内容を理解していなくてはなりません。したがって、定理を使う時には、定理の証明を理解することが、大前提となります。

また、定理は、上記の例のように、定義(正三角形の辺の関係)から、定理の内容(正三角形の角の関係)が発展的に考えつくものばかりではありません。

三平方の定理(ピタゴラスの定理)のように、ある人物によって発見されたものは、その内容を、われわれが、定義から考え付けるようなものではないので、理解して覚えなければなりません。そのような定理を使って、より深い研究を進めるためには、定理の内容を覚え、すばやく、正しく使うための演習が不可欠であると思っています。


小中学校においても、定理は、内容を理解し、証明ができるようにしておく
ことと、正しく、すばやく使えるように演習することは、その双方ができて初めて、定理を学習したということになると思います。


参考 → 新しい概念を学習するとき



(※)
公理とは、「ある世界のなかで、前提とされる命題で、自明な(証明する必要のない)もの」です。たとえば、ユークリッド幾何の世界では、「平行線は交わらない」は公理です。



 
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by math90 | 2006-03-04 23:32 | 数学一般
定義

定義、定理、公式。数学でよく使われる言葉ですが、その意味を小学校では、詳しく学習されません。けれども、算数を初等数学と捉えたとき、この考え方は基本になってくると思いますので、少し取り上げようと思います。

「定義」とは、「ただ1つに決められた用語の意味」です。それぞれの人が1つの用語を別々の意味に解釈していると、議論がかみ合わなかったり、1つであるはずの結論が複数になったりするおそれがあります。そこで、1つの用語に対して1つ意味を共通認識として決めます。そして、このように決めることを「定義する」と言います。

上記の「『定義』とは、『ただ1つに決められた用語の意味』です。」という一文で「定義」と言う用語が定義されたことになります。

数学では、様々な用語が数学的に定義されています。たとえば、日常使用している「距離」という言葉には、「長さ、隔たり、開き、離れている」などの意味があります。ところが、数学で使用する「距離」と言う用語は、2つの間の「最短距離」と定義されています。「点と直線の距離」といえば、「点から直線におろした垂線の長さ」と決まっているのです。

定義は決められたことなので、たとえ、分かりにくい定義や難しい定義でも、先に進むために、覚えることが必要になります。定義は「正確に覚えること」が大切です。そして、定義を「正確に覚えること」は、教育のなかで否定されているような暗記とは、区別して考えてほしいと思います。



参考 → 新しい概念を学習するとき
                                    
 
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by math90 | 2006-02-20 00:23 | 数学一般