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割合の定理

「割合」の定義が理解できたら、割合の概念にどんどん触れることが大切と思います。「絶対的な数値」を「割合」という「相対的な数値」に置き換えると、どのようなことが言えるのかを実感することです。

  (比べる量)=(もとにする量)×(割合)
  (もとにする量)=(比べる量)÷(割合)

この2式は、
「ある量をもとにすると、もう一方の量は、もとにする量の何倍かを考える」
という定義から、子供達には、下図のような関係が、直感的にわかると思います。
e0017757_1459293.jpg

したがって、これらの2式は、「もとにする量と比べる量と割合の3者間の関係を示す定理」ということになると思います。

定理とは、以前「新しい概念を学習するとき」で述べたように、使うことが目的です。使うことによって何かをつかむことができるからです。

割合の2式も同様で、この2式に数値を当てはめることにとり、
  ・量には、もとにする量と比べられる量があること。
  ・同じ割合でも、もとにする量が違うと比べる量も違ってくること。
  ・部分と割合から全体が求められること。
  ・同じ比べる量でも、もとにする量が変わると割合が変わること。
などを、具体的な数字として体感していくことができます。そして、それを繰返すことによって、「割合」という概念をより理解していけるものと思います。



小学校の割合の学習において、

  (割合)=(比べる量)÷(もとにする量)
  (比べる量)=(もとにする量)×(割合)
  (もとにする量)=(比べる量)÷(割合)

この言葉の式は、分かりにくいとか、言葉の式に数字を当てはめるだけの学習などと、評判がよくありません。けれども、これらの言葉の式の意味を理解し、使うことによって、新しい何かをつかむのだ、ということを意識した指導であれば、思考の伴わない単なるパターン学習ということにはならないと思います。
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by math90 | 2006-04-30 14:58 | 割合
割合の定義と1あたりの量

割合の定義を「1あたりの量」とする見方もあります。

しかし、 「ある量をもとにすると、比べられる量は、もとにする量の何倍か」という考え方と、「1あたりの量」の考え方は、割り算の意味が違うので、理解しにくいようです。さらに、「1あたりの量」を求めるときに、なぜ割り算を使うのかが、分からない子供も多いです。

割り算の意味には、2種類あると指導されます。

<例題1>
「ケーキが12個ありました。4人で分けると1人分は何個になるでしょう。」
    12÷4=3

<例題2>
「ケーキが12個ありました。3個ずつ分けると何人に分けられるでしょう。」
    12÷3=4

例題1のような割り算を等分除、例題2のような割り算を包含除と呼ばれています。子供達はおはじきなどを利用し、下記のような「分け方の違い」に着目し割り算の学習をします。

e0017757_23363945.jpg

割り算の意味として、「倍」は包含除の考え方で、「1あたりの量」は等分除の考え方になります。このような違いから、「倍」で捉えている「割合」を「1あたり量」に発展させるのは、簡単ではありません。

割り算は小学校3年生で学習しますが、上記のように、「分け方」の違いへの着目が中心となり、割ったあとの「商の意味」にはほとんど着目されません。この時点では、子供達に九九を利用して割り算をさせること、掛け算と割り算の関係を理解させることで精一杯なので、「商の意味」まではなかなか行き着かないようです。

それゆえ、等分除の商こそが、「1人分」、つまり「1あたりの量」になっているのですが、それを理解しないままの子供も多いのだと思います。

割合の学習を始めるまえには、「『割り算』というのは、1あたりの量を求めること」と、割り算の意味をもう一度確認することが大切であると思います。
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by math90 | 2006-04-20 23:24 | 割合
割合の定義と式の意味

次に、「割合」の定義の式の意味を考えてみます。

(割合)=(比べる量)÷(もとにする量) 

この式の意味は、「ある量をもとにすると、比べられる量は、もとにする量の何倍か」ということです。「何倍か」を求めるので「割り算」で考えるというわけです。「倍」の考え方で「割合」を捉えるということを、まずしっかり理解してほしいと思います。

とはいえ、特に5年生で扱う割合は、もとにする量が全体、比べる量が部分という場合(割合が1以下)が多く、「割合」は単なる「1以下の小数倍」と思っている子供も多いです。

従って、割合の「もとにする量を1とみている」考え方と、単なる「小数倍」とは違うことを強調しなければなりません。比の考え方が未習の子供達にとっては、「もとにする量(1でない)」を「1とみるということ」自体が難しいと思います。もとにする量と比べる量が同じときの割合が1になることから、「割合はもとにする量を1とみている」と説明すると、少しは理解しやすいようです。

「もとにする量を1とみる」という見方を、さらに意識するために、ある2つの数値A、Bにたいして、Aをもとにする量のときの割合と、Bをもとにする量のときの割合を比較してみるのもよいと思います。A>Bのとき、前者の割合は1より小さくなり、後者の割合は1より大きくなることがわかります。

また、割合が同じということは、どのような意味を表すのかを考えることも大切と思います。たとえば、10回のシュートで3回ゴールできる割合と、30回のシュートで9回ゴールできる割合は同じになることなど、同じ割合の状況はたくさんあることを理解してほしいと思います。


割合は、比、公倍数、分数の通分、比例などの考え方も含んでいるので難しく、小学校では段階的に指導の範囲を広げていきます。そして、6年生終了まで割合の学習は続きます。家庭や塾で指導するときに、子供達を混乱させないために、未習の部分、既習の部分をよく理解し、学校の指導段階にあわせるよう注意が必要と思っています。
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by math90 | 2006-04-18 12:36 | 割合
割合の定義 

小学校の後半の算数のなかで、最も分かりにくい単元が割合です。なぜ、分かりにくいのでしょうか。

割合には、
   (割合)=(比べる量)÷(もとにする量)
   (比べる量)=(もとにする量)×(割合)
   (もとにする量)=(比べる量)÷(割合)
の3つの式があります。

この3つの式は、「割合の3用法」と呼ばれて、3つの公式のように扱われていることが多いようです。ところが、前述の定義定理公式の考え方でみると、これを公式のように扱うことは、ふさわしくないと思っています。

   (割合)=(比べる量)÷(もとにする量)

これは、割合の定義です。まず、この定義をしっかり理解することが大切と思います。その上で次の2式をみると、定義から発展的に導かれる定理ということが、分かると思います。

ところが、小学校の教科書では、この3つの式が、同じように扱われ、定義について、しっかりと言及しているとは言いがたい状況です。それが「割合」を分かりにくくしている、まず第1の原因と思います。


では、「割合」とはどのようなものでしょうか。

たとえば、次の二人のどちらのシュートが上手かを評価してみましょう。
   A君 ――― 10回シュートをして4回ゴールできた
   B君 ――― 16回シュートをして6回ゴールできた
ところが、このままでは比較できません。これまでの比較は「差」に着目していましたが、この場合、シュートの回数が異なるので、単なるゴールの数の「差」では比較することはできません。

この二人を比較するには、たとえば
   ・ シュートの回数を10回に揃えて、そのうち何回ゴールできたか
   ・ 4回のゴールを決めるために何回シュートをしたか
の数を比較するというように、シュートの数か、ゴールの数を揃えなくては、比較できませんでした。

ところが、「割合」という新しい数値を定義したことで、
   A君のゴールの割合 ――― 4÷10=0.4
   B君のゴールの割合 ――― 6÷16=0.375
となり、0.4と0.375の数値の差に着目することで、「ゴールそのものの数ではA君の方が少ないが、A君のほうが上手である」、と評価できるようになりました。

「割合」という数値の定義によって、シュートの数、ゴールの数を揃えなくても比較できるようになったのです。

これは、とてもすごいことと思います。

これまでの「比較」は、他の条件を同じにして、対象となるものの絶対的な数値の「差」に着目しました。従って、条件が違えば、絶対的な数値の「差」に意味はなくなってしまいます。ところが、ここで「絶対的な数値」を「割合」という「相対的な数値」にかえることで、再び「差」に着目して比較できるようになったわけです。

この新しい数値を定義したことで、また数の世界が広がりました。この感動をこそ子供達に味わってほしいと思っています。

子供達が、なぜ「割合」という数値が定義されたか、それによりどのように数の世界が変わったのかを理解することが、まず「割合」の概念を理解するスタートであると思っています。
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by math90 | 2006-04-11 23:57 | 割合