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1 9月に始まり、10回にわたった文章題シリーズですが、これで一段落となります。もう一度総括してみたいと思います。 算数の文章題の基礎力は、小学校3年生の学習までが大きなポイントになると思います。しかし、学校では、文章題にかける時間が限られ、難度も易しいものが多いので、どうしても家庭にて、補足の学習が必要となると思います。 文章題の基礎力を養うには、 ・文章題の3ステップを意識する。 ・数学的に読む読み方を理解する。 ・単元のくくりのない教材を選択する。 を心に留めて、学習を進めていくとよいと思います。 将来、中学受験を予定している場合も、文章題については、小学校3年生までは、じっくり基礎のペースで大丈夫と思います。中学受験で扱う特殊算を、基礎ができないうちに学習すると、数字の組み合わせで立式したり、解法のパターンを覚えるだけになる恐れがあります。特殊算に入る前に、じっくり時間をかけて文章題の基礎力をやしなってほしいと思います。 また、中学受験をしない場合でも、小学校5、6年生になると、割合、平均、速さなど、線分図では表せない目に見えない数量の世界に入ります。記号の言葉(公式)も登場し、より抽象的になります。5、6年生で文章題が苦手というお子さんは、思い切って3年生まで戻ることをお勧めします。 ![]() ▲
by math90
| 2005-11-29 19:24
| 文章題
文章題の基礎を養うのには、小学校3年生がとても良い時期と思います。とくに、冬休みから3学期は、お勧めの時期です。そのためには、「低学年の文章題」でも述べたように、学年や単元のくくりがなく、何算か予想のつかないような教材が必要です。 市販のものでは、学力研編の「徹底反復文章題さかのぼりプリント」(小学館)がおすすめです。この問題集は、前の学年にさかのぼって始めることができ、内容も充実しています。立式には関係のないダミーの数字も入れてあるので、文章題をしっかり読む練習にはとてもよいと思います。 また、手軽に手に入る公文のドリルや受験研究社の標準テストなどの、市販の「文章題」の教材を使って、ご家庭で切り貼りされるのも、とても良いと思います。この時期の教材なら、家庭で充分手作りできる範囲であると思います。 次のような点に留意して、教材を作成してみてください。 (1)A4サイズ1枚に3問題程度 あまり多すぎないように、15分程度で解けるのが目安。 (2)余白を大きめにとる 式と答えだけでなく、途中の図や筆算も書き込めるように、 図と線分図を並べてかくとよいと思います。 (3)何算か予想のつかないようにする 既習の単元の文章題をいろいろ取り混ぜると良いでしょう。 3年生までの標準問題なら、わりと乱暴に取り混ぜても 大丈夫と思います。 (4)易しい順に並べなくてもよい。 問題の並べ方は、ランダムでよいと思います。 (5)お子さんが簡単に解ける問題を1題は入れる 難しいものばかりでは、モチベーションが下がります。 下の学年のものも入れると良いと思います。 (6)間違えたり、できなかったりした問題は繰り返しいれる 同じ問題を繰り返すことも大切です。 (7)公式を使うものは避ける 面積、割合など、公式を使うようなものは、この段階では、 まだ、避けたほうがよいと思います。 はじめは、足し算、引き算、掛け算、割り算の1種類の式になる問題のみで混ぜていきます。それをクリアしたら、式が2つ以上、演算を2種類以上使用する問題を混ぜていくとよいと思います。 少し続けるとお子さんの得意部分、苦手部分などの状況が把握できるようなると思います。この時期の文章題の理解には、かなり個人差があるので、学年にとらわれることなく、文章題の3ステップを意識しながら、じっくり繰り返して理解していくことが大切と思います。もちろん、理解の早いお子さんは、既習範囲や学年にこだわらず、どんどん難しい問題もいれていけば良いと思います。 子供たちは、意外と、手作りの教材を喜んでくれると思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-11-27 14:19
| 文章題
文章題を数学的に読むには、もう一つ大きなポイントがあります。 <例題4> みちこさんの身長は138cm、よしこさんの身長は143cm、けいこさんの身長は125cmです。3人の身長の平均は、何cmでしょうか? この問題は、情報の関係を考えなくても、すでに、3人の身長の情報と、求めるものの関係が明らかになっています。それは、「平均」という言葉があるからです。 日常で使用する「言葉」は、1つの言葉に色々な意味を持っています。それが味わいのある文章を作り出すのでしょう。ところが、算数・数学で使う「言葉」の中には、意味がただ1つに定義されているものがあります。 たとえば、日常使用している「距離」という言葉には、「長さ、隔たり、開き、離れている」などの意味があります。ところが、数学で使用する「距離」と言う言葉は、2つの間の「最短距離」と定義されています。「点と直線の距離」といえば、「点から直線におろした垂線の長さ」と決まっているのです。 これらは、言葉ではなく「記号」と考えるとわかりやすいかも知れません。記号の言葉は、前後の文脈から意味を読み取るのではありません。関係を考える必要もありません。既に関係が1つに決まっているのです。 例題4の「平均」も、この記号の言葉です。これは、 (平均)=(すべての合計)÷(個数) と決められています。文章題の中で、この記号の言葉が見つけられないと、どうしてよいのか分からなくなってしまいます。 まず、記号の言葉が使われているかどうかをチェックすることは、文章題を数学的に読ための、もう一つのポイントとなると思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-11-09 12:33
| 文章題
小学校の低学年で扱われている文章題を取り巻く状況について見てみましょう。 現在、公立の小学校の算数の時間は週に3時限です。低学年では、計算の習得に充てる時間が多くなるので、文章題を習得するために充分な時間があるとはいえない状況です。 低学年で扱われている文章題は、情報の関係のとても単純な問題がほとんどです。また、単元毎に学習しますので、足し算の単元なら足し算、引き算の単元なら引き算を使うことが、子供たちにも予想できてしまいます。つまり、とりあえず、問題文にある数字を短絡的に使って、単元で判断して式をたててしまっても正解してしまうというような問題がほとんどです。 このような解き方で正解を続けてしまうと、情報を整理して、線分図をかくどころか、問題を丁寧に読む必要すらないと思ってしまうかもしれません。これでは、文章題の3ステップなどはおろか、「考える」と言う習慣すらつきません。 高学年になって、情報の関係が複雑になり分からなくなる生徒は、難しくなったことでわからなくなったのではなく、はじめから分かっていないことが多いように思います。 そこで、家庭学習がとても大切になると思っています。低学年で扱う簡単な問題から、文章題の3ステップの(Ⅰ)、(Ⅱ)を分けて考えることを意識させ、ステップ(Ⅰ)として線分図をかくようにしていくと、文章題を解くための基礎ができていくと思います。 四則の学習を終えて、小数・分数に本格的に入る前の小学校3年生という時期が、とても良い時期であると思っています。小学校では、小数・分数の世界に入ってまもなく、文章題も複雑なものになります。それは、子供たちにとって、ハードルが二つ並んでいることになるのです。整数の世界のうちに、ある程度、情報の関係が複雑なものの対応について演習しておくとよいと思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-10-22 23:48
| 文章題
実際に文章題を線分図で解いてみましょう。どちらも文章題の3ステップの(Ⅰ)を飛ばして、いきなり(Ⅱ)へいこうとして間違える典型的な問題です。 <例題2> みちこさんとよしこさんとけいこさんが、背比べをしました。みちこさんは、よしこさんより、8cm背が高く、けいこさんはよしこさんより、2cm背が低かったです。みちこさんと、けいこさんの、身長の差は何cmでしょうか。 このとき、「差」というキーワードからすぐ引き算と読み取ってしまいます。 8-2=6 の式は誤りです。 これを線分図で表してみると、 ![]() となります。「差」というキーワードがありますが、これは足し算であることが分かります。そこで、 8+2=10 の式が組み立てられ、 答え:10cm となります。 <例題3> けんじ君のお父さんは34歳です。お父さんの年齢は、けんじくんの年齢の3倍より2歳若いです。けんじくんは何歳でしょうか。 これは、問題文に出てきた順番で数字をつかってしまいます。 34÷3-2=? という式をたてて、答えが割りきれない! となってしまいます。 これを線分図で表してみると、 ![]() となるので、[若い」が引き算にならないこと、また、まず3で割るのではないことが分かります。そこで、 (34+2)÷3=12 の式が組み立てられ、 答え:12歳 となります。 このように、ステップ(Ⅰ)として線分図をかくことによって、情報の関係を目で見て把握することが、とても大切なわけです。 文章題の学習には、文章題の3ステップの(Ⅰ)、(Ⅱ)を分けて考えることを意識し、ステップ(Ⅰ)として線分図をかくことを、低学年のうちから、是非習慣ずけてほしいと思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-10-13 20:39
| 文章題
小学校3年生になると、文章題でこれまで○やテープで表していた図を抽象化して、対象となる量を線分の長さで表すという、「線分図」を学習します。子供たちにとって、この○やテープの図から線分図への移行が、難しいようです。 先の 数学的に読む で取り上げた例題1の図を線分図にすると、 ![]() となります。子供たちは、○を使った図は簡単にかけるのですが、それを線分に変えることに、抵抗を感じるようです。 それまでは、単位についての学習で、人数、長さ、かさ、個数、金額などは、「質の異なる量」であることを繰り返し指導します。ところが、線分図では、「人数でも、長さでも、かさでも、個数でも、金額でも、すべて同じように線分1本で表しましょう」というのですから、混乱するのも仕方がないと思います。 さらに、線分図は、問題文の情報の関係を視覚的に捉えるのが目的なので、実際の長さの割合は、正確でなくてもよいことも、子供たちには、かえって難しいところなのでしょう。 中学生になっても、文章題の苦手な生徒は、文章題の3ステップのうち、ステップ(Ⅰ)ができていないのか、線分図への移行でつまずいたのかを、きっちり見極めねばならないと思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-10-09 00:35
| 文章題
文章題を解くときは次のような3つのステップがあると考えます。 (Ⅰ) 数学的に読む (Ⅱ) 式を組み立てる (Ⅲ) 計算 文章題が苦手な生徒の多くは、(Ⅰ)のステップを飛ばして、いきなり(Ⅱ)へ行こうとしているような気がします。数学的に読むことがない――つまり、情報の関係が明確でない――まま式を立てようとするので、何から手を付けてよいのか分からなくなるのです。そして、あきらめてしまいます。 文章題をよく間違える生徒は、(Ⅰ)がキチンとされていないので、式の組み立てを、間違えて捉えてしまうわけです。 問題文を(数学的に)読ことと、式を組み立てることは、意識して分けて考えたほうがよいと思います。例題1では、問題文から、引き算を読み取ったのではなく、図から「引き算を組み立てた」と考えてほしいのです。 ところが、低学年のうちは、情報が少なく単純なので、(Ⅰ)、(Ⅱ)のステップを踏まなくてもできてしまいます。学校でも、塾でも特にこのような指導もしていません。この時期の算数は、計算の指導がメイン(特に九九の習得)だからです。 けれども、低学年のうちに、まず、ステップ(Ⅰ)、(Ⅱ)を分けて考えることを「意識」させてほしいと思います。文章題は、式、答えの2ステップではなく、3ステップあることを「意識」させてほしいと思います。これが、文章題攻略の第一歩になると思っています。 ![]() ▲
by math90
| 2005-09-24 15:54
| 文章題
数学的に読むとは、問題文を「情報を整理して、その関係を把握する」ことであると考えます。前回の例題1を、数学的に読んでみましょう。 <例題1> 男の子と女の子が、公園で鬼ごっこをしています。はじめは8人であそんでいましたが、途中で3人かえりました。いま、何人で遊んでいますか。 国語では、冒頭の「男の子と女の子が、公園で鬼ごっこをしています。」の一文で、その楽しい様子が即座に想像でき、次に何が起きるのかと、わくわくした気持ちにさせるような、導入として大切な一文になるでしょう。国語では、イメージを膨らませることが、より深い読解に繋がります。 けれども、算数の文章題としては、この一文に意味はありません。式を立てることにおいて、必要のない情報なのです。逆に、「公園」「鬼ごっこ」という単語に子供達が想像をひろげ、なかなか集中できなくなるという心配が生じます。 そこでまず、問題文の中で、何が必要な情報かを考えます。 「はじめは8人 3人帰った いま 何人」 と、問題文を必要最低限の情報に整理します。特に小学校1、2年生のうちは立式とは関係の無い部分が多いのでこの作業は重要です。 問題文が整理できたら、残った情報の関係を把握します。その際に有効なのが、図をかくことです。特に、高学年になり情報が多くなると、読んだだけでは、関係が読み取れなくなるので、この図をかくことが大変大切になります。 小学校1、2年生では、○やテープを用いて図をかきます。例題1では、人を○で表して、次のような図にします。 ![]() この図より、8と3と求めるものの関係が、見て把握できます。 このように、数学的に読むとは、「与えられた情報を整理して、その関係を把握すること」であると考えます。 ![]() ▲
by math90
| 2005-09-13 11:20
| 文章題
どの学年でも、文章題の苦手な生徒のほとんどは、題意がしっかり把握できていません。それは、国語の読解力が無いからだとよく言われます。 文章題の始まりである小学校1年生の問題を考えてみましょう。 <例題1> 男の子と女の子が、公園で鬼ごっこをしています。はじめは8人であそんでいましたが、途中で3人かえりました。いま、何人で遊んでいますか。 このように、1年生の文章題は、子供たちが楽しんで学習できるようにお話形式になっています。ところが、このお話形式は、演算がいろいろなキーワードに対応しているのに気づきます。 全部で・増える・来る・あわせて・多く・乗る もらう・違いは・減る・帰る・差は・少なく 降りる・あげる・食べる・使う・配る・あまる などの、たくさんのキーワードが、足し算に対応しているのか、引き算に対応しているのか、前後の文脈から、読み取らなければなりません。この読み取る力は、まさに国語の読解力によるものです。それゆえ、文章題は国語の読解力といわれるのです。 けれども、文章題の文章は、国語の文章とは本質的に違います。もちろん読解力は必要ですが、文章題は、演算を読み取っただけでは、「数学的に読んだ」とはいえない と考えています。では、「数学的に読む」とは、どのようなことでしょうか。 ![]() ▲
by math90
| 2005-09-06 23:41
| 文章題
9月になりました。街は選挙でにぎやかですね。いよいよ、改革の本丸・・?いえいえ、算数の学習法の本丸の「文章題」について、取り組もうと思います。 文章題は、いつの時代も苦手な生徒が多く、ここから算数嫌いや、勉強嫌いになることも多いようです。この文章題をいかに嫌いにさせないかは、算数・数学の指導者にとって大きなテーマです。 中学校でも、中1の1次方程式の応用、中2の連立方程式の応用で文章題がありますが、問題を見ただけで拒否する生徒がたくさんいます。励ましたり、なだめたり、説得したりと、あの手この手で問題に取り掛からせます。が、嫌いオーラ全開でこちらの話は上の空。一度嫌いになってしまうと、これを克服するのは、本当に本当に大変です。 文章題とは、問題を整理して、筋道を立てて考えることです。論理的思考の入り口です。数学の原点と言っても良いかもしれません。数学だけではなく、あらゆる学問においても、社会活動においても、この論理的思考力はとても大切な能力であると思います、 なぜ、文章題の苦手な生徒が多いのか、いつから苦手になっていくのかを、これから考えていきたいと思います。 ![]() ▲
by math90
| 2005-09-01 16:02
| 文章題
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